はじめに
私は2年程前に体調不良のため休職し、その半年後に復職することなく退職した。
詳しく知りたい方はこちら。
休職し始めた最初の3ヶ月弱は残っていた有給休暇を使い、その後は傷病手当をもらっていた。
そして退職後も傷病手当を申請し、傷病手当は合計1年半受給していた。
更にその後は雇用保険を申請し失業給付を約7か月間受給している(現在進行形)。
失業給付の延長についての詳細はこちら。
休職中に傷病手当をもらえることを知っている人は多いと思うが、退職後も継続してもらうことができることは知らない人も多いだろう。
また傷病手当を申請せずに退職した場合も、一定の条件を満たせば退職後に傷病手当を申請することも可能だ。
そこでこの記事では実際の私の体験談をもとに、状況ごとの具体的な申請方法や注意事項などを紹介したいと思う。
傷病手当金について
傷病手当金とは
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される。
支給される条件
傷病手当金は、次の(1)から(4)の条件をすべて満たしたときに支給される。
(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明があるときは支給対象となる。
また、自宅療養の期間についても支給対象となる。
ただし、業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)や病気と見なされないもの(美容整形など)は支給対象外。(2)仕事に就くことができないこと
仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断される。
(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給される。
待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ない。
また、就労時間中に業務外の事由で発生した病気やケガについて仕事に就くことができない状態となった場合には、その日を待期の初日として起算される。※待期3日間の考え方は会社を休んだ日が連続して3日間なければ成立しない。
(4)休業した期間について給与の支払いがないこと
業務外の事由による病気やケガで休業している期間について生活保障を行う制度のため、給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されない。
ただし、給与の支払いがあっても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給される。
任意継続被保険者である期間中に発生した病気・ケガについては、傷病手当金は支給されない。支給される期間
傷病手当金が支給される期間は、令和4年1月1日より、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月に変わった。
ただし、支給を開始した日が令和2年7月1日以前の場合には、これまでどおり支給を開始した日から最長1年6ヵ月。支給される傷病手当金の額
1日あたりの金額=
資格喪失後の継続給付について
資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態[(1)(2)(3)の条件を満たしている]であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができる。
引用:全国健康保険協会
ただし、一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後更に仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されない。
実体験をもとにした解説・補足
休職中の申請はそんなに複雑ではないし、会社の担当者にも聞きやすいと思うので大丈夫だと思うが、私のように休職を経てそのまま退職する場合の継続の方法や、体調不良による退職で退職後に療養したいと考えている方の申請方法などは分かりにくいと思うので、補足したいと思う。
特に上記引用の赤色のアンダーラインの部分は、きちんと理解していないと受給できるはずのものが受給できなくなってしまう可能性もあるので注意が必要だ。
大前提として
傷病手当金は会社員が加入する健康保険(協会けんぽや組合健保)の給付手当であり、自営業者や未就業者が加入する国民健康保険は給付対象外となる。
申請の頻度
まとめて申請することも可能だが、傷病手当とはあくまで休業中の生活を支えるための手当なので、1ヶ月ごとの申請が推奨される。
私の場合は、最初と最後の申請については月をまたいだので1ヶ月半ほどをまとめて申請したが、その間は基本毎月1ヶ月分を申請した(申請先は組合健保)。
ちなみに傷病手当の時効は待期期間を除いた支給対象日ごとに、その翌日から起算して2年間となっているので、まとめて申請するとしても要注意だ。
申請に必要な書類
傷病手当の申請に必要な申請書には、被保険者(申請者)記入用、事業主記入用、療養担当者(医師等)記入用の3種類がある。
被保険者記入用
被保険者情報(氏名・住所など)の他、仕事の内容や傷病名、原因、初診日、療養のため休んだ期間などの申請内容、報酬の有無、労務の有無、労災ではないことなどを記載する。
事業主記入用
勤務状況や賃金支払い状況などを記載する。
事業主である会社の労務担当者などに作成してもらうもの。
療養担当者記入用
傷病名、原因、初診日、労務不能と認めた期間、診療日、治療内容などを記載し、労務不能であったことを記載する。
療養担当者(通常は担当医)にお願いして作成してもらうもの。
申請をはじめるタイミング毎の申請方法・注意事項
休職中に申請する場合
休職中の傷病手当は、連続して会社を休んだ期間(待期)が3日あれば、4日目以降から支給される。
もちろん上記の支給条件を満たす必要があり有給消化中は支給されないが、待期期間は有給消化中でも対象となる。
また受給期間は通算1年6ヶ月なので、仮に一度復職した後に再度休職することになっても、通算で1年6ヶ月までは受給できる。
事業主は給与の支払い有無について証明が必要になるため、給与の締め日に合わせてなど会社ごとに提出のタイミングは違うので、その点も含め会社のルールを確認することをおすすめする。
休職中から受給しており退職後も継続申請する場合
被保険者期間(任意継続被保険者期間を除く)が継続して1年以上あり、退職日の前日までに連続して3日以上仕事を休み、退職日も仕事につけず休んでいる場合は、同じ傷病での療養に限り、退職後も引き続き申請することができる。
退職日(被保険者資格喪失日の前日)に出勤してしまうと、一旦仕事に就くことができる状態になったと見なされ、退職後に継続して傷病手当金を受給することができなくなるので要注意。
また退職後は資格喪失しているため1日でも仕事をしてしまうと継続給付は受けられなくなる。
私の場合は、休職してから退職するまで(もちろん退職日も含めて)出社していないので、問題なく継続申請ができた。
こういうことは、あまり会社としても積極的に教えてはくれないので、心配な方は自分で確認しにいこう。
退職後に受給したい場合
被保険者期間(任意継続被保険者期間を除く)が継続して1年以上あり、健康保険の資格喪失時点で傷病手当金を受給しているか受給資格を満たしている場合は退職後でも申請することができる。
上記のとおり資格喪失日に受給資格を満たしている必要があるため、退職日に出社すると受給できないのはもちろん、退職日までに仕事ができなくなった日から連続3日の休業(待機)を経過している必要がある。
つまり最低でも退職日を含めた連続した4日間は労務不能で仕事を休んでないと受給できない。
無理せず必要な人は有効活用を
昨今働き方改革という言葉が良く聞かれるようになり、実際に就業環境が改善している企業も増えているとは思うが、それでもまだまだ日本人は働き過ぎだと私は思う。
キャリアアドバイザーとして働いていた時も、求職者の一番多い転職理由は働き方の改善だった。
そして私が対峙したカスタマーの中にも、すでに心を病んでしまった人や自覚は無いが一度休んだ方が良いのでは…と思ってしまう人も結構いらっしゃった。
私も以前は休職することや傷病手当をもらうことに正直抵抗があったが、今は良い選択だったと思う。
あのまま無理して働き続けていたら、きっと深刻な状況になっていただろう…。
休むことは恥ずかしいことではない。
だから今本当に休養が必要な人は、遠慮せずに利用してほしいと思う。
この記事が、誰かを救うきっかけになれれば嬉しい。
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